データ通信量のことを「ギガ」と呼び始めたのはいつから?最初にツイートした人は?

スマホなどでのデータ通信量のことを、その単位「GB(ギガバイト)」にちなんで「ギガ」と呼ぶ人が増えている、という記事。

契約しているプランの通信量を超えると、通信速度が低速に制限され、ネット利用に困難をきたすようになるため、「ギガが減る」「ギガが足りない」「ギガがやばい」「ギガが復活」などといった使い方がされている。

 

twitterでは月末と月始めに、この用語を使っての投稿が多くなるようだ。twitter検索でざっと見てみると、2015年にはすでに多くの人が使っていて2016年には完全に定着している感がある。

 

だらだらと調べていると、「ギガ」を「通信量」の意味で使っているツイートは2012年10月まで遡れた。*1

 

この時期に何があったかというと、2012年10月1日からドコモがXiのプランで月7GBの通信量を超えると通信速度を128kbpsへ制限することを始めていた。

 

それ以前であれば、スマホほ話題で「ギガ」と言えば、内蔵ストレージのROM容量のことであった。

 今ではこの意味で「ギガ」を使う人は少なくなっている。

 

最近話題になってた話。

今は「スマホのGB(ギガ)」といえばRAMでもROMでもなく、月の通信量プランのことを思い浮かべる人が多いとか。月末に悲鳴を挙げてるユーザーにとって「32GB」は脅威の数字ではないか。

*1:ここまで検索するので力尽き、それ以前の用例まで調べていない。削除されり非公開のツイートは検索結果に反映されないので、これらツイートが「最初」なのかは分からない。

エントリーのはてブタイトル変更問題再び?(訂正あり)

 海外の嘘ニュースサイト World News Daily Report の翻訳ブログ 

日本人のための海外記事 が、一昨年行方不明になったマレーシア航空機のパイロットが台湾で見つかった、という嘘翻訳記事を掲載しtwitterで拡散したみたいで、はてなブックマークでもバズっている。

news4jp.hatenablog.com

 一目で嘘だと分かる…とまではいかないが、記事内容を読んでも信じられない内容だし、翻訳元は三面ゴシップっぽい作りだし(嘘ニュースサイトと分からなくとも雰囲気的に)、そもそもこんな大ニュースを他の主要メディアが先に速報流さないはずないし、サイドバーにはマスメディア記事で見たこともない大ニュースの見出しがズラズラと並んでいるしで、「ああこのブログは虚構新聞のような嘘ニュースブログか」と、ここまで1分ほどかけて自分は判断した(遅すぎ?)。

 はてなブックマークコメントを見ようと拡張機能でブクマページを開くと、そのタイトルには「【嘘ニュース】」と見出し冒頭につけられていた。

「あれ?こんな嘘が嘘と分かる親切なタイトルつけられていたっけ?」

と確認すると、記事のタイトルにもブログの名前にも「嘘ニュース」という文字はない。どうやらはてブユーザーの1人が親切心から付け加えたものだった。そりゃそうだ。「嘘」とタイトルにつけられていたならば嘘と判断するのに1分もかからない。

 そのままコメントページを見ようとしてギョッとした。サイト運営者の要望によりコメント非公開にされていたのだ。もともとコメント非公開の場合、こんな嘘記事に300以上のブクマが集まるはずないから、最初はコメント公開状態だったのが、嘘指摘が続いたことで非公開設定に変えたのだろう。この裏付けは何重にも多段ブクマされていたコメントを読むことで確認できた。

 はは~ん、なるほど。嘘指摘のコメントが非公開にされたことに腹を立て、タイトルに「嘘ニュース」と付け加えたんだな。

(※コメント欄で指摘がありました。ホッテントリに入った後でコメントが非公開になったというのは事実誤認であり、「『コメント非公開の嘘記事に300以上のブクマが集まった』が事実」でした。訂正致します。※※こちらも参考→ はてなブックマークの非表示等についてのメモ - すなばいじり 最初からコメント非公開設定のブログのはてブページをブクマした場合にメタブクマページが非公開状態になるまでのタイムラグについて書かれています。非公開記事のメタブは自動で伝播するそうです)

 

 ここで少し迷う。ブクマしようかするまいか。

 釣り目的の「嘘記事」にブクマはしたくない。が、ブクマしないとなぁ……という気持ちも出てくる。はてブページの記事タイトルの問題である。

 記事のタイトルに「[嘘ニュース]」と付け加えられて改変されている。

 ここで思い出して欲しいのが、4年前のはてブタイトル変更騒動である。記事タイトルにサイト名を表示させない嘘ニュースサイト「虚構新聞」。その記事のはてブページで、あるユーザーが記事タイトルにサイト名として「虚構新聞」を追加したところ、批判殺到。「釣られなくなって記事がつまらなくなる」などという虚構新聞のファンの声のみならず、普段は虚構新聞に否定的であるようなはてなユーザーも「タイトルは極力そのままにして、サイト運営者の意思を尊重すべき」などと批判した。

 結局、このユーザーのサイト名追加活動はここで終わり、虚構新聞ユニセフ嘘記事などで大きな批判を浴びたりしながらも現在もサイト名表示はしないまま嘘記事はホッテントリに入り続けている。

d.hatena.ne.jp

 この騒動を後にして、はてブのエントリのタイトル変更のガイドラインが改訂されるまでに至っている。

hatena.g.hatena.ne.jp

 タイトル変更のガイドラインはこちらで見られる。

エントリーのタイトル変更のガイドライン - はてなブックマークヘルプ

 ここで求められていることは「極力オリジナルタイトルを尊重」することだ。自分もたまにタイトルを変更しているが、それは記事の見出しがタイトルに乗らずにサイト名だけ表示されたサイトの場合に記事見出しを入れるとか、pdfファイルをブクマするときにタイトルをつけるとか、プレスリリースをブクマするときにタイトルをつけるとかの場合だ。

 嘘記事翻訳ブログ 日本人のための海外記事 の記事タイトルに「[嘘ニュース]」と付け加えて変更するのは、かつての虚構新聞記事に「虚構新聞」とつけたこと以上の、ガイドラインから外れた行為だろう。

 というわけでタイトルから「[嘘ニュース]」を外すためにはてブしてしまった。

 

 


「ハロウィンが盛り上がっている・定着した」といつから感じたか

昨年、今年と10月31日のハロウィン仮装者の練り歩きが話題になったせいか、マスコミ、ネットブログ問わず各メディアで「そういえばいつから日本でハロウィンが定着したのか」みたいな記事をよく見かけます。

d.hatena.ne.jp

個人的にいつからハロウィンが「流行ってる」「定着した」かと感じたか、メモとして、書き残しておきます。

 

ハロウィンの仮装イベント

女性自身の記事によれば、日本で最も古いハロウィン仮装イベントは、1983年にキディランドが始めたものだったそう。

jisin.jp

この原宿表参道のパレードは、現在まで続き、「日本で最も古いハロウィンパレード」と銘打って人気になっているということです。

 

その後1997年から、ディズニーのハロウィンイベントや、テレビ取材が殺到する川崎市のハロウィンパレードが始まります。ハロウィンの仮装イベントはそこから広まりすでに20年近く経っているみたい。

 

ただし、イベントに興味のない、テーマパークや地域開催のイベントに行かない層には全く実感のなかったのではないか。「ハロウィンだから仮装する」ではなく「イベントがあるから仮装する」段階。メディアもハロウィンの季節だからと言って報じられるのではなく、イベントがあったから報じるという段階。

 

菓子メーカーのハロウィン限定商品

ハロウィンはお菓子をあげる、もらう行事。ということで菓子メーカーが結構早くから参入していて、9月から10月31日にかけてハロウィンの季節限定お菓子を発表することがここ数年は定番化しています。

 

 

matome.naver.jp

上のまとめは2011年の主要な菓子メーカーのハロウィン限定商品一覧。定番お菓子のパッケージがハロウィン使用に変更されています。かぼちゃ味のお菓子が作られるという話ではないみたいです。

 

具体的に各社がいつからハロウィン期間限定商品を作り始めたのかは、軽く検索した程度じゃよく分からず、自分のおぼろげな記憶からも定かではありません。1990年代後半か2000年代前半か。2007年のプレスリリースは見つかりました。(ロッテ、「エンジョイハロウィーン コアラのマーチ」など3種を期間限定で発売 - マイライフ手帳@ニュース

 

スーパー・コンビニではハロウィン使用の販促ポップが、菓子メーカーがハロウィン限定お菓子を出す前から作られていた気もします。これも分かりませんが、2000年代に入り双方が盛り上がることで10月の季節のお菓子売り場がハロウィン色に染まっていったのでしょう。

 

菓子メーカーでなければ、ミスタードーナツがなんと1977年からハロウィンキャンペーンを行っているみたいです。(1970年代|ミスタードーナツの歴史|事業情報|ミスタードーナツ

 

ハロウィン商品やイベントへの2000年代の冷めた反応

最初のハロウィンイベントが始まってから20年以上経っていますが2000年代にはまだ定着したとも感じられることもなく、2000年代半ばのハロウィンイベントを報じる記事への2ちゃんねる界隈の反応は非常に冷めたものでした。

【ハロウィン】六本木ヒルズで3,000人のパレード「ハッピー!ハロウィン2006」

5 :やまとななしこ:2006/10/19(木) 08:20:47 ID:8ZqTRbAv
もう10年以上ハロウィンネタをやっているが、さっぱり定着しませんな。

同じようなレスを至る所で見た気がします(一部記憶に恵方巻きへの反応が混ざっているかも)。

 

以下は2011年の2ちゃんねるのまとめ記事ですが、この時期になると毎年のように「なぜハロウィンは流行らないのか、企業が必死になって流行らせようとしているのにかかわらず」という疑問がネットで提示されていたと思います。

himasoku.com

 

印象に残っているのは、ハロウィンを盛り上げたい在日外国人が電車ジャックしてハロウィンパーティをしようとした件。

 

2006年のハロウィンの季節、山手線に仮装した外国人集団が乗り込んでパーティのノリで騒いでいた動画が拡散し、ネットで批判されました。

世の中を生暖かく見守るブログ : ハロウィン山手線占拠はJRの責任at外人掲示板

 

翌2007年、またも電車内でパーティする計画があるとされ、2ちゃんねるで話題になってます。計画がどうなったかは覚えていないですが。

blog.livedoor.jp

 

以上は、電車内でのハロウィン計画が非難されている、という話で、当時「イベント会場限定で騒ぐならともかく公共の場を占拠しようとするなよ」と批判されていたのでした。「マナー違反はマナー違反だが楽しそう」という声も結構あった気がします。

 

イベントでもないのに、外で、集団で、仮装して、どんちゃん騒ぎ。ハロウィンにこういうイメージは当時日本ではメジャーではなかったと思います。

 

なんとなくメディアがハロウィン流行らすのに本気になったな、と感じた2012年

流行ってる、定着したとは思わないけど、10月になるとかぼちゃのお化けのイラストが商店に現れるのが定番となった2010年代。「うわ~メディアが本気でハロウィン流行らそうとしてきた~」と感じたことがありました。

HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA - Wikipedia

HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA(ハロウィン・ジャンキー・オーケストラ)は、HYDEを中心にハロウィンの期間限定で結成される日本のバンド。

概要
多数のアーティストが参加する、VAMPS主宰のハロウィンライヴイベント『HALLOWEEN PARTY 2012』の参加アーティストを中心に結成。
2012年10月17日、2011年の『HALLOWEEN PARTY 2011』で誕生したハロウィンソング「HALLOWEEN PARTY」の初回限定盤と通常盤が発売された。

L'Arc~en~CielのHYDEが主催してハロウィンソングを発売したのが2012年。この曲が朝の情報番組などで何度も取り上げられるわけで。ミュージックステーションか何かに出た時にHYDE自ら「日本にハロウィンを定着させたくて作ったユニット」なんてことを言ってましたが、このHYDEのユニットの活動とともに、なんとなくメディアへのハロウィンの露出がそれまでより増えた感じが個人的にするのです。

 

あともう一つ。2012年はきゃりーぱみゅぱみゅのヒット曲『ファッションモンスター』が発売された年でもあります。ハロウィンパーティをモチーフにしたれっきとしたハロウィンソングであり、ユニクロのCMを通じて延々とテレビで流され続けました。

 

電通』が本気でハロウィンを流行らせようと攻勢をかけてきた、と当時思い、その時は「それでも流行らないだろう」とも考えていたわけなのですが……

 

2012年というのはリアルの街中でもハロウィン受容について重要な年だったようで、

shiba710.hateblo.jp

「ここ数年、渋谷を定点観測してきた」上記のブロガー氏においても、東京でハロウィンが「ハジけた」のは2012年だったという実感があるそうです。

 

渋谷ハロウィン

マスコミ報道では週末に日程が重なった2014年、2015年の盛り上がりを強調していますが、ネットを通じて私が「渋谷、スクランブル交差点付近で仮装した若者が自然発生的に集まっている」ことを認識したのは2013年以前だったと思います。

bylines.news.yahoo.co.jp

上記の、都市の若者はなぜハロウィンに盛り上がるのか、を分析した記事でも「ここ5年ほどのこと」としています。

2014年の11月のバラエティ番組ではすでに「ハロウィンの日に芸能人が仮装して街を歩いて一般人は気づくかモニタリング」なんてコーナーが放送されていたので、昨年大盛り上がりになる前に、すでにハロウィンの日に街が仮装者で混雑することは有名だったはずです。

 

2013年にはすでに「ハロウィン盛り上がっててヤバイ」という雰囲気が形作られていました。

hamusoku.com

 

 

個人的に、「東京のハロウィンは本当に盛り上がっている」と思ったのは2013年から、ということで。

寺社に油をまいた犯人に関するデマがネットで流れた経緯のまとめ

こんな記事がありました。

kyoumoe.hatenablog.com

 デマ指摘はいいのですけど、ちょっと「デマ」ができるまでの流れの記述が不十分な気がしたので、ここに簡単に記録しておきます。

 そもそも容疑者の名前についてデマが流れるのは、報道で実名が出ないからなんですが、マスコミの自主規制か何かでは単に「逮捕状」が出ただけでは名前を報道しないというルールになってるんですね。普段は気づきにくいことですけど。

 現時点でまだ容疑者名は匿名状態になっていますがネット上では実名・顔写真から経歴までいろいろと明らかになっています。ネットではどうやって特定したのか。

 きっかけは朝日新聞が単独スクープか飛ばし報道をして(他社も知ってたっぽいので飛ばし?)、それを他社が後追い報道、その都度犯人情報が小出しに出され、ネットではだんだんと容疑者が絞られていき最後に特定され、各サイトで自信を持ってどうどうと拡散されている、という流れです。

 その間に今回のデマ情報も容疑者候補として浮上し排除されていったというわけで、以下その経緯を簡単に記録していきます。

 

1.寺社油事件で逮捕状が出たと朝日新聞が単独報道(6月1日午前3時配信)

www.asahi.com

 この記事からネットで犯人探しが始まります。朝日新聞の記事では犯人について

米国在住

東京都内に拠点があるキリスト教系の宗教団体幹部

(52)

東京都出身

2013年に教団を設立

教団には東京と大阪を中心に100人以上の信者がいる

 という情報が掲載されており、ネットではこの情報に当てはまる宗教団体と人物を最初に特定しようとしたわけですね。調べやすいのは「東京都内に拠点があるキリスト教系の宗教団体」「2013年に教団を設立」という点。

 

 ネットではこの情報から「2013年に東京都に宗教法人として届けを出した」と読み取り、東京都生活文化局に掲載されている「東京都宗教法人名簿(平成27年3月1日現在)」を使って、この宗教団体を特定しようとしました。

名簿から「2013年設立」「キリスト教系団体」で絞り込んだ結果は以下の3件。

  1. パプテスト会系の団体で設立者が朝鮮名。

  2.  エホバの証人系の団体で設立者は女性っぽい名前。

  3.  設立者が西洋人名の団体。

  この3団体の名前と設立者が箇条書きされたものが2chでコピペ化され拡散されました。中には「名簿に書いてあるのは『登記日』だ。朝日新聞は『設立』と書いているのでこの名簿情報は役に立たない」という意見もありましたが、この時点ではまだ、「この3団体のどれか」というのが有力とされていました。また、嫌韓の風潮があるネット上では朝鮮系名前の人物が代表の1番の団体が大きく注目され、中には2,3を省略して1番の団体を容疑者の宗教団体として拡散する人が2chツイッターで出てきてしまいました。

2.新たに「医師」情報が追加(朝日新聞6月2日午前5時)

 午前3時に配信された情報でPCチェア探偵たちが3つの団体にしぼりこみ、ネット右翼が朝鮮名人物が代表の団体にターゲットを絞ってる中、朝日新聞がさらに続報を配信します。こちらにはさらに容疑者について次の情報が追加されていました。

日本人

医師

男は海外にいる

 「日本人」情報が出たことで、外国人・在日外国人ではないことが分かりました。さらに「医師」「キリスト教」「アメリカ在住」という情報から、1.で候補に挙げられた3団体以外の人物がネットで浮上しました。この人物が現在特定されている逮捕状が出された容疑者です。2ちゃんねるでは朝7時過ぎのことになります。

 さらに、この人物の立ち上げた団体のサイトに掲載された「油」に関する記事や講演動画から、他の3候補を抑えて一番有力な容疑者となります。

3.他社メディアによる続報

 朝7時以降、NHKや通信社も後追いを始め、産経新聞では容疑者が「ニューヨーク在住」という情報を掲載しました。

www.sankei.com

 2で候補に挙げられた人物の職場と合致することで、容疑者はほぼ確定とされます。

 

4.テレビ報道で逮捕状が出た人物の顔写真がモザイク付きで放送(6月1日午前11時半)

テレビでは午前中の情報番組で油事件で逮捕状が出されたことが報じられていましたが、その人物の顔写真が出されたのは11時半からの民放の昼のニュースからになります。

TBSでは11時半のトップに油事件で逮捕状が出た人物がネットに掲載していた顔写真をモザイク付きで放送し、その写真が2で候補に上がった宗教団体サイトに掲載されていた創始者の写真と一致したことから、ここでようやく今回逮捕状が出た容疑者名、宗教団体名が確定されることになりました。

news.tbs.co.jp

番外.その後

犯人名が確定になり、以降確定した犯人情報が拡散されているわけですが、最初に候補に挙げられた団体代表を犯人視してネットで発信する人がいなくなったわけではありません。情報の受け取りには時間差があるので一斉に間違った情報がなくなることはありません。さらに逮捕状の人物の出自についての嫌韓情報と間違った情報が混同されてしまうこともあります。早く逮捕されて正しい情報がマスコミに流れるようになればいいですね。

 

ただこの間違った情報が実際にどれほど流通していたかといえば、それほどでもない、というところでしょうか。間違った情報がネットで「正しいかも」とされていたのは平日早朝のわずか数時間。ネットに人が少ない早朝のことだったため一部クラスタによるツイート集中投下でツイッターのトレンドワードに間違った情報が掲載されてしまったようですが、すぐに逮捕状男の正しい情報が判明しネットでは上書き拡散が行われます。なので多くの人は正しい情報にしか触れていないかと思います。

 

いまだに間違った情報を流そうとしている人たちを見つけて「いつまでデマ流しているんだ」と批判するのはもっともですが、「デマなんてあったの?」とピンと来ない人たちも多いことかと思います。

 

 

波多野結衣と一夜を共にするというボーナスを用意した中国企業とはどこか?

こんな記事がありました。

 

中国企業が社員に「アダルト女優と一晩過ごせる」ボーナスを用意し賛否 - ライブドアニュース

 中国の大手企業では毎年1番貢献した社員に対し、特別ボーナスとして現金や車を贈呈することはよくあるそうですが、上海の企業が用意したものが過激すぎるとニュースになっていました。

 なんと優秀な社員に対して、日本の成人向け作品に出演する女優と一晩過ごせるというものです。


 お相手として選ばれたのは波多野結衣さん。
 上海の企業がこの発表をすると大きな話題を呼び、従業員の間でも、さすがにこれはモラル的にどうなのかと物議をかもしたようです。

 

 英語翻訳ニュースサイトの「らばQ」が2014年8月17日にlivedoorニュースに配信した記事です。波多野結衣さんは、リン・チーリンに似ているとして今一番中国で人気のある日本のAV女優です。

元のらばQの記事はこちらになります。

 

中国企業が社員に「日本のアダルト向け女優と一晩過ごせる」ボーナスを用意し、賛否の声:らばQ

 

この記事を読んだ時に浮かんだ感想としては、「で、その会社ってどこよ?」という疑問です。誰でも疑問に思うことだと思います。らばQの記事には書いてありませんでした。らばQが参照した海外記事はどうでしょうか?

 

らばQが参照したのは2014年8月13日に立てられた英語掲示板REDDITのスレッドです。

TIL that a Chinese company rewarded its employee of the year with a night with a Japanese adult video star. : todayilearned

 

そのREDDITのスレッドのニュースソースは、2014年1月14日のアメリカのネットニュース記事でした。らばQの記事のキャプチャー画像のサイトですね。

China company rewarded best employee with a night with actress, News, News, AsiaOne Business News

 

なんと半年以上前の話題が今更ニュースとして話題にされていたのでした。速報ニュースじゃなかった。2ちゃんねるのニュース速報スレやTwitterでも時たま、ものすごく古い話題が盛り上がっている時がありますが、どういう流れでその話題が掘り起こされたのか分からないと、かなりモヤモヤします。REDDITの仕組みやローカルルールを知らないので、こんなこと言っても仕方ありませんね。

 

この半年前のニュースの話題をREDDITで見つけたらばQが翻訳して記事にしたわけですが、記事の中に日付が一切入ってなかったのも頷けます。記事中に「今年1月~」と入っていたら読者は「何で今さら?」となって気持ちが冷めてしまいますもん。

 

で、最初の疑問「波多野結衣をボーナスにした会社はどこ?」という話です。REDDITの元ソースにも会社名は書いてありませんが、らばQにはなかった情報が書かれています。

CHINA - A company in China rewarded its best employee with a night with Hatano Yui, a Japan adult video actress at its appreciation dinner recently, Kwong Wah Yit Poh reported.

The company in Shanghai invited the actress to appear as the special guest at the dinner, which attracted a lot of her fans to take photographs with her, it reported.

It caused a stir among the employees when an announcement was made that the best employee of the year would spend a night with the actress.

China company rewarded best employee with a night with actress, News, News, AsiaOne Business News

・このニュースは「Kwong Wah Yit Poh」という中国メディアが報じた。

・この発表をした上海の企業は波多野結衣を特別ゲストとして招待していた。

 

元ソースの「Kwong Wah Yit Poh」の記事を読めば、より詳しい情報が分かるかも知れません。その記事はこちらになります。

 

光华电子新闻 | 中国游戏公司年终奖 与AV女优共度一宵

2014年1月9日の光華日報電子版の記事です。

(上海9日综合电)又到年尾晒年终奖的时候,中国不少公司为奖励员工,送钱又送车。

上海一家游戏公司却搞搞新意思,日前团年饭时,邀请日本AV女优波多野结衣作嘉宾,穿着透视装的波多野结衣“波涛汹涌”,吸引大批宅男粉丝合照。

更轰动的是,公司最优秀的员工,年终奖励是:与波多野结衣共度一晚。

 google翻訳が下になります。

(上海9日ロイター)今年の賞を乾燥させるには、多くの中国企業が、従業員に報いるお金を与えると車を送信するタイミングを、今年末までに行ってきました。

上海、ゲーム会社が、物事を攪拌し、数日前にお祝いの夕食は、画像のオタクファンの多数を引き付けるために千里眼の衣装波多野結衣「とぎれとぎれ」を着て、ゲストとして日本のAV女優波多野結衣を招待した。

波多野結衣と夜を過ごす:もっとセンセーショナルな、同社の最高の従業員、年末の賞があります。

 

・元は上海ロイターの配信記事(ほんとかよ)

・この特別ボーナスを出したのは上海のゲーム会社

 

ということまで分かりました。

さらに検索してみると、いくつかの中国語ニュースブログ記事に当たりました。

 

GameApps.HK 香港手機遊戲網 - 駿夢遊戲官方闢謠:「波多野結衣陪睡屬誤傳」!

遊戲公司年終獎,竟是與A.V女優共度一宵?!

 

双方とも2014年1月の記事で、特別ボーナスを発表したと噂されていた上海のゲーム会社が噂を否定したことを伝えていて、そのプレスリリースが転載されています。

 

その内容を引用します。

關於日本女星波多野結衣參加駿夢遊戲年會的聲明

尊敬的業內同仁及媒體朋友們:
我司(上海駿夢網路科技有限公司,簡稱:駿夢遊戲)於1月6日舉行了2013年年會,並邀請了日本知名女星波多野結衣小姐以嘉賓身份出席,但未料被外界誤傳為“獎勵優秀員工與波多野結衣共度一晚”,為我司形象造成了極大影響。現我司就此事鄭重聲明:
1、我司邀請波多野結衣小姐出席年會,是為我司來年計畫即將佈局日本市場,而進行的宣傳準備。
2、我司十分重視員工福利,在本次年會之上,共發放價值近50萬元的現金及數碼獎勵。出於員工對波多野結衣小姐的喜愛,因此與其合影留念也是本屆年會的“福利”之一。
3、由於現場近500名員工,對於波多野結衣小姐的到來所表現出來的過分熱情,因此原本計畫的“抽取員工與波多野結衣合照資格”的環節被迫取消,事後僅為幾位工作表現出色的員工開放了通道,與波多野結衣單獨合影。
4、“獎勵優秀員工與波多野結衣共度一晚”純屬外界謠傳,我司將保留對造謠者追究法律責任的權利。
上海駿夢網路科技有限公司 特此聲明

2014年1月9日
公司官网声明地址:http://www.thedream.cc/cn/news_2014.html#news_1

GameApps.HK 香港手機遊戲網 - 駿夢遊戲官方闢謠:「波多野結衣陪睡屬誤傳」!

 エキサイト翻訳した内容が下になります。

日本の女性スターの波多野に関して衣服の駿馬の夢ゲームの年次例会に参加する声明を結びます

尊敬する業の内で同僚とメディアの友達:
我が社(上海駿馬夢ネットワーク科学技術有限会社、略称します:駿馬の夢ゲーム)は1月6日に2013年の年次例会を開催して、そして日本の有名な女性スターの波多野に衣服のお姉さんを結んで賓客の身分で出席するように招待して、しかし外部に誤って伝えられて“奨励の優秀な従業員が波多野の結び目の衣服とともに過ごして遅れると”になると推測していないで、我が社のために如実に極めて大きい影響をもたらしました。現在我が社はこのことについて厳粛に声明します:


1、我が社は波多野に衣服のお姉さんを結んで年次例会に出席するように招待して、我が社来年の計画間もなく配置の日本市場のため、行う宣伝は準備します。


2、我が社は非常に今回の年次例会の上、で従業員の福利、共に発給の価値の50万元近くの現金とデジタルの奨励を重視します。波多野が衣服のお姉さんの好感を結びに対して従業員から、そのためそれと一緒に写真を撮って記念に残すのも今期の年次例会の“福利”です。


3、現場のため500人近くの従業員、波多野が衣服のお姉さんの到来の表した行き過ぎな情熱を結ぶについて、そのため本来は計画の“従業員を抜き取って波多野の結び目の衣服と資格によって相当する”の一環はしかたなくキャンセルして、事後に何人(か)の仕事のためにただすばらしい従業員の開放的になった通路だけを表現して、波多野と衣服を結んで単独でいっしょに写真を撮ります。


4、“優秀な従業員と波多野に衣服を結びを1ともに過ごす奨励するのが遅い”はまさしく外部のデマだ我が社は保留してデマを飛ばす者に対して法律の責任の権利を追及するでしょう。


上海駿馬夢ネットワーク科学技術有限会社は特にここに声明します

2014年1月9日
会社の公式サイトは住所を声明します:http://www.thedream.cc/cn/news_2014.html#news_1

 

ここで「波多野結衣を特別ボーナスにしたとされた会社はどこ?」という疑問が溶けました。「上海駿夢網路科技有限公司」、通称「駿夢遊戲」というゲーム会社でした。

上の引用のリンク先(骏梦游戏)に飛んでも、同じ文章は見つかりませんでしたが、同じ文章が他のサイトでも見つかるので、既に消したものとして本物のプレスリリースとして扱うことにします。

 

つまり、

・駿夢遊戲が会社の年会に、福利厚生として人気女優の波多野結衣を招待、

・パーティでは社員たちが波多野結衣とツーショット写真を撮ってネットにアップ、

・それを元に、「年末の特別ボーナスとして波多野結衣と一夜を過ごせる権利が発表された」と噂が立ちニュースに拾われた、

・駿夢遊戲は噂を流した者に法的措置を検討している、

みたいなことのようです。中国語に堪能な人ならもっと適切な理解ができるかも。

 

 上のプレスリリースは2014年1月9日。ここから1月14日に英語メディアが記事を書き、何故か半年以上経った8月13日にREDDITにスレッドが立てられ話題になり、8月17日にらばQが記事にするという、おかしな逆輸入ニュースとなりました。

 

当の波多野結衣さんは、らばQの記事に対し、もちろん完全否定。Twitterでこんなツイートをしています。

 

「どうゆうルートでこんな記事にされたか私知ってるからね(´・Д・)」

なんか意味深ですね。気になります。

 

らばQには今更感が出てもいいから元記事の日付を入れてほしいと願っています。

2chブログを始めとするネットメディアが2014年6月に「キメラ」のニュースを取り上げた理由

この記事を読みました。

返信もどき KADOKAWAエンターブレインホビー書籍部デスク岡本真一 | StarGazer -スターゲーザー-

フリーゲーム作家の星見テラセさんのブログです。2014年6月にKADOKAWAエンターブレインから自身のゲームシナリオを下にしたライトノベルを出版したのですが、編集者に対して何やら不信感を持っているとのことです。

 

この記事の中では、不信感を持ったきっかけの一つとして2chコピペブログを利用した編集によるステマ疑惑が書かれています。

 

 ただ何故かAmazonカートが開いたあと、
 はちま寄稿やオレ的ゲーム速報@刃を筆頭とする2chまとめブログ連で「キメラ」に関するほぼ同じ記事が掲載され、広告欄にキミ箱が貼ってありました。
 ちなみにそのキメラ記事のソースは12年くらい前のもので、今更取り上げた理由は、謎ですね。

 まとめブログでの「キメラ」記事に関して先方に尋ねてみましたが、
「知らない」「わからない」「そんなことを知る必要があるのか」
 と、何故か感情的に突っぱねられました。
 本人が言うには、数年前にネット流行語にもなった「ステマ」の事件も「よく知らない」とのことです。

 

この文章で星見さんが匂わせているのは、2014年6月に複数の人気コピペブログが「キメラ」のニュースを掲載した理由は、同月発売された自身の小説「キミはキメラ 箱庭の鬼」の宣伝依頼を受けたためではないか、ということです。

 

編集者が人気コピペブログに自社作品のAmazon広告を掲載するように依頼していたかは知りませんが、時系列を抑えるだけで、何故2014年6月に「キメラ」の記事をネットメディアがこぞって取り上げたかは理解できます。

 

星見さんのツイートから不信感の原因となった「まとめブログ」の「キメラ」記事のニュースは以下のものになります。

 

まとめブログのソースは、livedoorニュースに配信された2014年6月11日の「らばQ」の記事になります。

「お腹を痛めて産んだ子なのに、DNAが一致しない!」あやうく子供を取り上げられかけ、さらに犯罪の疑いまでかけられてしまった女性 - ライブドアニュース

問題が起きたのは2002年で、リディアさんが25歳のとき。4歳と3歳の2人の子供に加え、お腹の中には妊娠3か月の子を身ごもっていました。

 「らばQ」本家の記事では、参照した英語ソースへのリンクも分かります。

「お腹を痛めて産んだ子なのに、DNAが一致しない!」あやうく子供を取り上げられかけ、さらに犯罪の疑いまでかけられてしまった女性:らばQ

事件が起きたのは2002年のことですが、「らばQ」が参照していたのは2006年のアメリカABCニュースの記事でした。

She's Her Own Twin - ABC News

REDDIT」を通じて「らばQ」がこの話題を知ったことも分かります。

TIL a woman filing for public assistance failed 4 DNA tests to prove maternity of her children. She was taken to court and risked losing custody. It was later discovered she had absorbed her twin in the womb and her reproductive organs carried different DNA to other parts of her body. : todayilearned

つまり、2006年のABCニュースが、英語掲示板「REDDIT」で2014年6月9日に話題とされたことで、「らばQ」の目に入り、livedoorに配信され、まとめブログに取り上げられ、Amazon広告が貼られることになった、という流れになります。

 

「らばQ」が記事にした流れは以上ですが、「まとめブログ」がこぞってこの話題を取り上げた理由はもう少し別にあるでしょう。

2014年6月9日に最高裁でDNA鑑定を巡る裁判が開かれていたからです。

 結婚後に生まれた子が、夫以外の男性と血縁関係があることがDNA鑑定で分かった場合、戸籍上の親子関係を取り消せるかが争われた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は9日午後、当事者の主張を聞く弁論を開いた。

父子関係、最高裁で弁論 DNA鑑定か、民法「嫡出推定」か :日本経済新聞

 一般ニュースでも大きく話題になった裁判ですが、女性の不貞行為に関わるものでもあり、2ch系の「まとめブログ」にとっては美味しいネタに違いありません。DNAキメラの話題は、これらの裁判で扱われている「DNAの親子鑑定は絶対!」という常識を崩すものであり、取り上げようとするのは当然のことと思います。

 

REDDIT」で何で2014年6月に2006年の記事をサルベージされたのかは分かりません。

が、このDNAキメラの話題は、2014年3月に日本で大きく取り上げられていました。

テレビ朝日で3月4日に放送された「トリハダ[秘]スクープ映像100科ジテン」で、DNAキメラを巡る同じ事件が再現ドラマで放送されています。

[トリハダ[秘]スクープ映像100科ジテン 【2時間スペシャル】 ]の番組概要ページ - TVトピック検索

放送中はTwitterでも注目キーワードに関連ワードが入っていたはずです。

 

テレビ朝日が何故この時期にDNAキメラを取り上げたかと言えば、大沢樹生さんの息子のDNA鑑定騒動があったり、先のDNA鑑定での父子関係取り消し裁判の控訴審があったりして、これも世間が注目していたから、そのカウンターとしてDNA親子鑑定の例外事例を取り上げたと推測できるわけです。

 

まあ、この番組内容を覚えていた角川の担当者が小説の販促のために、REDDITにスレを立てさせるところから「まとめブログ」に取り上げさせてAmazon広告を貼ってもらうまでの流れをlivedoorに頼んでいたという可能性を否定する根拠まではありませんけど、たぶん「そういうあれ」は考えにくいのではないかなぁ。

 

 

 

誰が言ったか分からない「」をタイトルに使う朝日と産経

朝日新聞の12月22日のネット記事にこんなものがありました。

対アマゾン、電子書籍で連携 書店や楽天など13社、めざせ「ジャパゾン」:朝日新聞デジタル

国内の書籍関連企業13社が協力して、電子書籍販売推進団体を新たに設立して、リアル書店での電子書籍販売の実証実験をする予定だ、という記事です。

内容は置いときます。注目するのはこの記事のタイトルの付け方です。

「ジャパゾン」という言葉が非常にキャッチーなものになっています。というか「ジャパゾン」という言葉がタイトルになっていなかったら私がこの記事のリンクをクリックすることはなかったと思います。

全文は会員登録しないと読めませんが無料で読める冒頭文にはこうあります。

紀伊国屋書店など国内の書店や楽天ソニーなどの電子書店、日販、トーハンなど取次業者の計13社が、書店での電子書籍販売に乗り出す。書店だけで買える人気作家の電子書籍を用意する構想もあり、業界で一人勝ちを続けるアマゾンに対抗できる連合体「ジャパゾン」を目指す。

Amazonに対抗して「ジャパゾン」。この安直なダジャレ風の言葉が新しく設立される電子書籍販売団体の痛さを誘います。ネットでは痛々しいニュースが人気があります。はてブのコメントを読んでも半分近くが「ジャパゾン」へのツッコミに占められています。

この「ジャパゾン」、一体誰が言い出したんだ?この興味だけで私は朝日新聞デジタル無料会員が1日3つまでしか使えない「続きを読む」を開きました。驚くことに記事の続きには「ジャパゾン」なんて言葉が一言も書かれていない。さらにAmazonへの言及した部分すらも記者が地の文で書いているだけです。

ちょっと待って。

タイトルにカギ括弧付きで「ジャパゾン」なんて言葉があったら、書店関係者の誰かが「今回の連携では日本のAmazon、すなわち『ジャパゾン』を目指します(ドヤッ」なんて痛い発言をしてるかと思っちゃうじゃん。

でもそんな発言は記事には書かれてなくて、結局、先の疑問について分かったことは、「ジャパゾン」というのは執筆者の守真弓記者が記事に合わせて作った造語だろうということでした。

それにしても何もないところから「めざせ『ジャパゾン』」という茶化すような見出しをつけたとしたら、記事の対象となる書店などに全く失礼な話で、今回の取り組みを揶揄するにしてもこんなの2chスレタイでも見かけません(誤読・誇張したスレタイはよくありますが)。一体記事の執筆者は何を元に「ジャパゾン」という言葉を作りタイトルにつけたのか…

そんなことを思っていたら、こっちの記事に答えがありました。

書店で電子書籍販売へ 来春から13社、アマゾンに対抗:朝日新聞デジタル

 

この記事は上の「ジャパゾン」記事とほぼ同じ内容ですが、関係者がAmazonに言及した下の一文が新たに加えられています。

コンソーシアムに参加する書店の社長の一人は「アマゾンに対抗するには組織が必要。小さな書店も加われる形にしていきたい」と話す。

なるほど。「めざせ『ジャパゾン』」という見出しの言葉は、この関係者コメントを膨らませて作られたものだと、自分の中では納得しました。それでも相当な煽りタイトル^^;

(しかし朝日新聞デジタルによくあるのだが何故全く同じ内容の記事をリンク別々で複数掲載したりしているのだろう…)

ちなみに紙面ではこうなってたみたいです。

 

 

こうして記事タイトルのカギ括弧に悩んだ同日、ある意味で朝日新聞と仲がいい産経新聞でも、読者としてカギ括弧の中身の受け取り方に悩むタイトルの記事を見つけました。

【九州から原発が消えてよいのか】第6部(7) 佐賀県議会、「水に落ちた九電」叩きいつまで 大飯再稼働にも「反対」!?+(1/6ページ) - MSN産経ニュース

 原発推進の立場から佐賀県議会や反原発団体を批判する特集記事なのですが、このタイトルどうですか。カギ括弧で括られた「水に落ちた九電」という言葉がキャッチーです。

「『水に落ちた九電』叩き」という見出しから、ネット利用者、とりわけ産経読者が何を連想するか。それは「水に落ちた犬は叩け」という言葉です。一時期、韓国人のメンタルを表す韓国の代表的なことわざという触れ込みで嫌韓層に広がりましたが、元は中国の近代思想家である魯迅が書いたもので、そこから日本を含めた周辺に広まった言葉です。

で、このタイトルを見た時、いったい誰が「水に落ちた九電」なんて痛い例えをしてるんだろう、という興味が湧くわけです。カギ括弧がついているんだから誰かこう表現した人がいるんだろうと思うじゃないですか。県議会の自民議員だったり九電関係者が自虐的にコメントしているのかな、とか考えながら読んでみます。

長い記事なので読むのが大変ですが4ページ目でタイトルに使われたカギ括弧の言葉を見つけました。

結局、松尾は「佐賀県民、県議会の皆様に不快の念を持たせたのは誠に申し訳ない。発言を取り消し、謝罪したい」と頭を下げた。「水に落ちた犬を叩(たた)く」のは隣国の伝統であり、日本人の美徳ではないはずだが…。

Oh...

見出しの「水に落ちた九電」は記事対象者の誰かのコメントを使ったものではなく、記者が書いた地の文を元にしたものでした…。それならばわざわざカギ括弧付きにしなくても普通に「佐賀県議会の水に落ちた九電叩き、いつまで」という見出しにすればいいのです。有名な魯迅な言葉を引用してるだけなんだから。

しかし「『水に落ちた犬を叩く』のは隣国の伝統」って、元の言葉は伝統を表したものでもなさそうですが、この記事を書いた産経記者の想定する「隣国」が中国なのか韓国なのか気になるところです。

 

 

朝日も産経も、記事中に出てくる人が誰も言っていない言葉を普通のカギ括弧でくくってタイトルにするのは、読んでて紛らわしいので止めてほしいです。

もしかして記事に書かれた誰かの発言をタイトルにする2ちゃんねるスレタイ文化が特殊なのか?とも思ったのですが、「ジャパゾン」という言葉に釣られただけの朝日記事の反応をたくさん目にすると、やっぱりタイトルにカギ括弧をつけるときは気をつけたほうがいいんではないかなぁ。